未来とエビス

椅子に座って、小説を読んで、オードリーのANNを聞いていた。

 

今日の夜には両親に今後の生活をどうしていくか説明しなさい。と言われている。

 

僕はまだ何も決めていなかった。

とりあえずフリーターになろうと思い目をつけていた、コンビニのアルバイト募集のポスターはもう無くなっていた。今後の職も給料も、全て決まっていない。

 

逃げたくなった。もう何も考えたくない。

 

生きていて文章を読んで書いていても何も生み出していない。

生きているうちには何かを生み出さなければならないらしい。

めんどくさい。

 

そういえば最近アルコールを摂取していないなと思った。

 

冷蔵庫に行こうか。冷蔵庫にビールを取りに行くことで椅子に座り続けている罪悪感もなくなるだろう。

 

冷蔵庫の戸を開けると、一番搾りとエビスが置いてあった。

この際、高いビールをくすねて飲んでしまおうという気持ちになった。

 

冷蔵庫からエビスを手に取り、しっかりと冷やされていることを確認した。

左手に缶を取り、右手の親指をプルトップにかけてカシュっと鳴る音を鼓膜に焼き付けながら開けた。

 

それから飲んだ。呑んだ。ひたすらのんだ。

不安を苦さと一緒に飲み込んだ。アルコールの熱さを喉に感じる前に飲み込んだ。

 

のんだからと言ってどうということも無い。

現実が良くなったわけでわない。気分が良くなるわけでもない。

 

ただ空になったエビスと、少し時間が進んだことがデスクトップに表示されているだけだった。